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バックナンバー
〜Vol.31〜
2007.09.26
「夢があったら、何ぼでも頑張れる」
大分自慢の南蛮菓『ざびえる』、復活のドラマ
株式会社ざびえる本舗
代表取締役 太田清利さん
(大分市)
 大分県を代表する銘菓として、多くの人々に愛されている南蛮菓『ざびえる』。このお菓子は、日本に初めてキリスト教を伝えたことで知られる宣教師、フランシスコ・ザビエルにちなんで名づけられた、南蛮ロマン漂うお菓子です。
フランシスコ・ザビエルと大分の関係
  豊後の国主であった大友宗麟の保護を受け、宣教師として活動したフランシスコ・ザビエル。ザビエルの滞在をきっかけに、大分には早くから西洋の音楽や医術などがもたらされ、西洋文化が花開きました。

 『ざびえる』は、大分で根強い人気を誇るお菓子ですが、一時、存亡の危機に立たされました。製造元であった長久堂が倒産し、店頭から『ざびえる』が姿を消したのです。この報道に、多くの大分県民が悲しみました。『ざびえる』を無くさないで、と各地で署名活動が起こり、「ざびえる」復活を願う声が巷で熱を帯びてきました。

 そんな中、立ち上がったのが、長年、長久堂で働いていた社員の方々でした。
『ざびえる』を残したい、この味を伝えたい。その思いを一つに、長久堂が店を閉め半年後の平成13年1月。周りの人々の声に後押しされ、『ざびえる』が復活しました。

 今回の行け行け大分人は、復活を遂げた『ざびえる』を製造する、「ざびえる本舗」の代表取締役 太田清利さんにお話を伺いました。


南蛮菓『ざびえる』が誕生したのは、いつごろですか?
 昭和37年です。この時代に、バターやミルク風味のお菓子がブームになっていたようです。当時、長久堂の社長が「大分を代表する銘菓を作りたい」と考え、和洋折衷の南蛮菓『ざびえる』が誕生しました。
  当時、長久堂では「ざびえる」と「瑠異沙(るいさ)」、「ロザリオ」という3つの南蛮菓があったのですが、その3つで総売上の約半分を占めていました。特に、お盆や正月になると際立って売れていましたね。

長久堂がなくなって、その後どういった動きがあったのですか?
  正直な話、自分で会社を立ち上げるなんて夢にも思いませんでした。
社長の娘さんから、「『ざびえる』という名前を残したいから、手助けしてくれないか」、と言われ、『ざびえる』という商標が大分県外に流れないように、署名を集めることなどをして協力していました。
  それがいつの間にか、「会社を作って、『ざびえる』を作ってくれないか」という話になり、自分の意志とは別のところでどんどん話が進んでいったわけです。

本格的に、今の会社を立ち上げる決意をしたのは?
『ざびえる』というお菓子が、大分県を代表するお菓子であるということは、重々わかっておりました。しかし、自分は長年営業を担当しており、経営に関してはまるっきり素人です。自分が本当に会社を作って運営することができるのか、という不安と、『ざびえる』を復活せんといかん、という二つの思いに挟まれて悩みました。
どうしてもやらんといかんなと思ったのは、『ざびえる』をどうにか復活できないか、というお客様の声を本当にたくさん聞いたからです。
  最終的には、当時、トキハインダストリーの社長であった渡邊社長から、「あなたがやるんだったら、うちは全面的に応援するよ」という声に後押しされ、会社を起こすことを決意しました。

『ざびえる』という商標は、どのようにして受け継がれたのですか?
当初、『ざびえる』の商標は、長久堂の資産かと思っていたのですが、『ざびえる』と『瑠異沙(るいさ)』という商標は幸い、前社長の個人のものでした。おそらく長久堂の商標であれば、競売にかけられてぼくらの手に届かないものになっていたでしょう。
  社長から、「お前たちがするんだったら、譲ろう」というお話をいただき、大分県菓子共同組合に商標権を預け、そこからリースをし、会社が軌道に乗ったら、買い取る方向になりました。それから4年後、会社を軌道に乗せ、商標権を買い取ることができました。

『ざびえる』の味を受け継ぐ、ということも大変だったと思いますが。
うちの社員は、全員、長久堂の元社員です。『ざびえる』を作るということに関しては、人的な問題はありませんでした。
  昔と同じ機械で再現できれば一番よかったんですが、昔の『ざびえる』を焼いていた釜は、14mもあるトンネルのようなものだったので、資金面や釜の老朽化との兼ね合いから断念せざるを得ませんでした。
  当初は試行錯誤を何回も繰り返し、商品として売り出すまでに半年かかりましたね。

復活してすぐに売れるような状況でしたか?
最初は随分心配しましたが、順調な滑り出しでした。多分、いろんなメディアで「社員が会社を作って『ざびえる』を継ごうとしている」ということで取り上げてもらい、盛り上げていただいたことが大きかったと思います。『ざびえる』という商品を、改めて皆さんに再認識していただいた。おかげさまで、会社を作って今まで、一度も赤字を出したことがありません。

『ざびえる』は、半世紀も変らずに愛されているお菓子ですね
他のお饅頭と違うところは、外側のクッキー生地です。それと餡とのバランス。いつも思うんですが、外の皮と餡を一緒に食べたときに、ミルクバターの香りがすっと入ってきて、「これ餡の中にミルクを入れているんじゃないか」と思うぐらいに見事に調和がとれている。これが、『ざびえる』というお菓子が持っている一つの特長じゃないかと思います。

『ざびえる』は昔と今とではちょっと味が違うように感じますが。
 そうですね、昔は糖度が78度ぐらいありましたが、今は糖度を65度ぐらいに抑えています。それが可能になったのは、真空の包装のおかげです。空気に触れることがないので、カビも防ぐことができます。よくお客様から、味がよくなったという声もいただきます。

今後、新商品の登場はありますか?
せっかく菓子屋を始めましたから、なんとか自分たちの手で新しいお菓子を作ってみたいということで、カボスを使ったお菓子を考えています。平成19年10月末には発売する予定です。
  カボスは大分の特産物ということから「豊のたちばな」という餅菓子を作りました。餡の中にカボスの果汁と皮を混ぜています。香料や着色料は一切使わず、カボス本来の色や香りを使って作っています。ざびえる本舗として出す、本当の新商品です。
カボス本来の風味が生かされている
餅菓子「豊のたちばな」

製造工程にもこだわりがありそうですね。
荏隈(えのくま)から現在の工場に移るときに、食の安全性が話題になっていたのでHACCP(ハサップ:危害分析重要管理点)に準じる施設づくりをしようと意識して工場を作りました。HACCPもISOも一緒です。要はやる人の心ですよね。どういう気持ちでやっているか、形にこだわることはない。真実を理解して、ちゃんとやっているかだと思います。

ざびえる本舗のコンセプトは?
和洋折衷といいますか、日本的な味と、西洋的な香りを持ち合わせたお菓子を作ることが私たちの目的です。これからのお菓子は、お菓子そのものが持っている物語が重要な販促の武器になると思います。商品も大事ですが、器も大事。商品だけでなく、社員もブランドの一つの要因です。会社のあり方や姿勢、全体があって、一つのブランドになるわけです。

太田社長のこれからの夢は
  隣の敷地に、新しい工場を作る計画があります。それは、先ほどお話した14mのトンネル釜で『ざびえる』を焼きたいという思いがどうしてもあるからです。ざびえる本舗をはじめた当初から、いずれトンネル釜を入れるために頑張ろうと言っていました。
  また、技術者を育てたいという思いもあります。社員だけでなく、お菓子に興味のある人はみんな集まってこいと。今、カボス菓子を作る工場を作っていますが、それを研究室に改造して開放したい。
  お菓子は、万人のものですから。「お菓子が作れるということが喜びにできるような場を作りたい」、というのが夢ですね。夢があれば、何ぼでも頑張れます。

 かつて、『ざびえる』がなくなるという報道がされたとき、私も「無くさないで」と思ったうちの一人でした。署名活動や、元社員の方々が会社設立に奔走していることや、見事な復活劇に、心の中で拍手を送った人たちも、多かったのではないでしょうか。これほど大分の人々に愛されているお菓子は他にありません。
  『ざびえる』のブランドを守り続けながら、さらにチャレンジを続ける「ざびえる本舗」。お菓子の枠を越え、日本と西洋の文化を結び、さらに未来へとつなぐストーリーが、ここから生まれそうです。
焼きたての『ざびえる』
  大分流通業務団地の中にある工場に行けば、焼きたての『ざびえる』を購入することができます。外のクッキー生地がサクッとして、中の餡がトロン。これが『ざびえる』なのか、ときっと驚くことでしょう。
お問い合わせ
株式会社ざびえる本舗
定休日 水曜日と日曜日
〒870-0319
大分市大分流通業務団地1丁目3-11
(宮河内I.C.より約5分)
TEL 097-524-2167
FAX 097-524-2168
URL http://www.zabieru.com/
 

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